日本語の母音は「あいうえお」の五つですが、日本語の音のほとんど全てにこの母音が含まれています。例えば「おはよう」という言葉を分解してみると「お(お)・は(あ)・よ(お)・う(う)」のように、一音の中に母音が含まれていることが分かります。そのため、日本語を美しく発音するには、母音の発音がとても重要になるのです。
フランスで育つ子供たちにとって、この母音を意識しながら発音するというのは、意外にも難しいことなんです。日本語は母音を中心に言葉のリズムを作っていますが、フランス語は子音を中心に言葉のリズムを作っているので、フランス語圏に住んでいると、母音を意識して発音する習慣がなかなか身に付かないのです。
そんなときに役立つのが、日本語の五十音表です。日本語の母音と子音の関係がすっきりと整理されているので、母音の「あいうえお」と子音の「かさたなはまやらわ」の流れさえ分かっていれば、残りの穴埋めは簡単にできてしまいます。
最初はなんだか複雑で分かり難い感じもしますが、ゆっくりこの関係性を理解していくと、不思議なことに五十音表が頭に入っていない子供達でもすらすら「あいうえお」が言えるようになります。
今まで呪文のように思っていた「あいうえお」でもルールが分かれば、頭の中が整理されるんですね。子供にドーンと日本語を与えて感じながら覚えなさい。としてしまうのもアリなんですが、フランスに住む子供達にとって、この方法は向き不向きがあります。僕もフランス語を勉強しているときに全く同じ経験をしているので、光も見えないトンネルをひたすら迷うような苦しい気持ちが痛いほど分かります。なので僕は、大人に教える時と同じように子供にもまずルールを説明します。なかなかトンネルから抜け出せない子供達にも、早く日本語が見せてくれる光景を見せてあげたいなと思っています。
さて、母音と子音の関係が分かったら、次は子供達には母音を意識して発音する癖をつけていきます。
フランス語にも発音のクラスがあり、正確な舌の位置の指導等を受けることがありますが、日本語でも同じように正確に発音するための舌の位置あるんですね。
僕は口腔内での舌のポジションをわかりやすく感じて貰うために、ジェスチャーを交えて教えています。
母音を必ず意識して言葉を話す癖をつけることが、大事なんです。
このジェスチャーを使いながら子供達に「全ての日本語の中には母音が隠れているんだよ。」ということを身体で実感してもらいます。そうすると子供達は、ゲームの感覚で母音を探すようになります。こうなると言葉が潰れないので、発音がグッと良くなります。
えっ?うちの子は「あいうえお」嫌いだからやらないかもって?
大丈夫です。子供達はみんな本当は「あいうえお」が大好きですから。
日本語の声とことば塾
磯貝メソッドParis
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